
小さな魚 モンテ・カッシノの陥落<新版>
第二次世界大戦下のイタリアで、孤児グイドがアンナとマリオという2人の仲間を守りながら、戦争による飢えと孤独と恐怖の中を生き抜き、ナポリからカッシノまで放浪する物語です。
その中でグイドは、戦争や戦争を起こす大人たちの世界を理解することになりますが、それはある意味では、大人の世界への痛烈な批判でもあります。しかし、この作品の底に流れている人間に対する深い洞察、人間同士憎み合うのではなく、それぞれの違いを越えて理解し合うことこそが大切だと学んでいく少年グイドの姿は、誰もの胸に感動をもたらします。
1967年に発表された『小さな魚』(原書)は、ボストン・グローブ・ホーン・ブック賞に続き、ブック・ワールド児童文学賞、ジェーン・アダムズ児童文学賞など、さまざまな賞を受賞した作品です。
<著者・訳者紹介>
エリック・C・ホガード
1923年、デンマーク生まれ。渡米後、英語で創作活動を始める。
主な児童文学作品に『バイキングのハーコン』『どれい少女ヘルガ』『風のみなしご』などがある。
児童文学のほかに、詩作や劇作の分野でも活躍し、アンデルセンの作品の英訳者としても知られている。2009年死去。
犬飼 和雄(いぬかい かずお)
1930年、神奈川県生まれ。法政大学名誉教授。
著書に『記紀に見る甲斐酒折王朝』『でいらぼっちの松』、
訳書に『心にひめた物語』『風のみなしご』『モヒカン族の最後』などがある。2024年死去。