明治42年(1909年)冨山房発行の復刻版

 

日本人は古代から月、雪、花を風流の極致としてきました。
月や雪や花には霊があって、それぞれ徳を備えているように感じてきました。
本書は風流の源泉を具体的に辿ります。藤原定家や松尾芭蕉のような歌人や俳人、文武両道を重んじてきた武将や、時の皇室など様々な詩や歌の表現から、奈良や平安の昔から近現代に至るまで、日本で長く育まれ、培われてきた感性の源泉を広く紹介する、稀代の名随想文と言えます。
本書では、原書の文語体的表現を極力生かしながら、旧字を新字に、地の部分の旧かなづかいを新かなづかいに直し、漢字や固有名詞に適宜、振りがなを付け、読みやすくしました。

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<著者紹介>
芳賀 矢一(はが やいち)

慶応3(1867)年、福井生まれ。帝国大学文科(後の東京帝国大学文学部)卒。東京帝国大学教授、國學院大学学長などを歴任。国文学者(文学博士)。
国学とドイツ文献学を合わせた日本国文学の基礎をつくる。明治41(1908)年、勲四等瑞宝章受章。昭和2(1927)年、逝去。著書に『国文学史十講』『国民性十論』『帝国読本』『芳賀矢一遺著』(以上、冨山房)、『国文学史概論』(文会堂書店)、『日本人名辞典』(大倉書店)など多数ある。