フリーダ・カーロの日記 ー新たなまなざしー
メキシコを代表する画家フリーダ·カーロが、自ら描き綴った真実の独白。
『フリーダ·カーロの日記』待望の日本語版
メキシコを代表する画家フリーダ·カーロ。彼女は人生最後の10年間に日記を綴り、そこを内奥の空間、避難所、魂を映す鏡とした。本書はメキシコ人美術専門家カレン・コルデロ・レイマンとエドゥアルド・カサールの解説により、日記の中でフリーダを感じ、絵と文を鑑賞し、この二つの才能がいかに共存しているか知ることができるだろう。そこから五感と想像力が呼び覚まされ、絵と言葉が融合し、読者は別の局面へ導かれる。そして観客となって、フリーダの声を聞き、彼女の息遣いを感じ、美しさに感動し、ブラックユーモアに笑うであろう。
ページを開くと、のびやかに即興的に描かれた形態や色彩が溢 れ出て圧巻だ。文字も原色の色インク、クレヨンなどで書かれ、絵と文が渾然と一体化している。気に入った詩、ディエゴへの愛のメッセージ、政治的信条、死への想い…そこに は表向きではない、ありのままのフリーダの命の躍動がほとばしり出ていて、胸を打つ。「青い館」がフリーダの宇宙そのものだとするならば、日記はこの館の、今も止むことなく脈 打つ心臓であるかのようだ。(堀尾眞紀子 解説より)
<著者・解説・訳者紹介>
著者:フリーダ·カーロ
1907年7月6日、メキシコ市の郊外コヨアカン生まれ。ドイツからの移民でハンガリー系ユダヤ人の写真家である父、ギィェルモ・カーロと、スペイン人とインディオの混血である母マティルデ・カルデロンの間に生まれる。
6歳で小児麻痺を患い、18歳の時、乗っていたバスに路面電車が衝突する事故に遭遇し、脊髄、鎖骨、肋骨、骨盤を骨折する重傷を負う。以後、30数回にわたる手術を受け、絶えず背骨と右足の痛みに苛まれることとなった。医師を志していたが、事故を機に断念。療養中に絵を描き始め、「自分自身を描く」ことが生涯のテーマとなる。
1929年、メキシコの壁画運動家ディエゴ・リベラと結婚。事故の後遺症、夫の女性関係、度重なる流産など、様々な苦悩と闘いながら、200点あまりの作品を創作した。また、ディエゴとともに共産主義者として活動する一方、華やかな恋愛遍歴を重ねた。1954年7月13日、肺塞栓症を起こし死亡。47歳。
解説:堀尾 眞紀子(ほりお まきこ)
日本の美術史学者、文化学園大学名誉教授。東京藝術大学美術学部、同大学院美術研究科修了。フランス国立パリ美術工芸大学留学。主な研究として造形とその文化背景。また国内外の造形作家、特に女性画家の研究。メキシコの女性画家フリーダ・カーロを日本に初めて紹介したことでも知られる。著書に『画家たちの原風景〔第35 回日本エッセイスト・クラブ賞受賞〕』(NHK 出版)、『フリーダ・カーロ 引き裂かれた自画像』(中央公論社)、『絵筆は語る』(清流出版)、『フリーダ・カーロとディエゴ・リベラ』(ランダムハウス講談社)、『女性画家10 の叫び』(岩波書店)など多数。日本エッセイスト・クラブ会員・常任理事、日本ペンクラブ会員、ほか。
訳者:星野 由美(ほしの ゆみ)
翻訳家。早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務を経て、1995 年にベネズエラへ渡り、帰国後は在日中南米人向け衛星放送局、在日ペルー大使館に勤務した。現在はスペイン語圏の詩と絵本を中心に翻訳をしている。翻訳詩集(共訳) に『ペルー日系詩人ホセ・ワタナベ詩集』( 土曜美術社出版販売)、『金子みすゞ 日西対訳詩集 El alma de las flores(花のたましい)』、『宮沢賢治 日西対訳詩集 Una luz que perdura(ひかりは たもち) 』(いずれもSatori Ediciones)がある。 絵本の翻訳には『いっぽんのせんとマヌエル』、『どうしてなくの?』(ともに偕成社)、『お話しの種をまいて―プエルトリコ出身の司書プーラ・ベルプレ』、『たかくとびたて女の子』(ともに汐文社)、『わたしたち』(岩崎書店)、『まぼろしのおはなし』、『なぞなぞえほん ぴぅ!』(ワールドライブラリー)等。
訳者:細野 豊(ほその ゆたか)
詩人、翻訳家。東京外国語大学スペイン語科卒業。通算十七年余りラテンアメリカ諸国に滞在。2009 年ー 2011年日本詩人クラブ理事長、2013 年ー2015 年同クラブ会長を歴任。詩集に『Dioses en Rebeldía(反逆の神々)』(メキシコ首都圏大学)、『薄笑いの仮面』(青樹社)、『悲しみの尽きるところから』、『花狩人』、『女乗りの自転車と黒い診察鞄』、『細野豊詩集』(いずれも土曜美術社出版販売)がある。
共訳詩集に『現代メキシコ詩集』、『ロルカと二七年世代の詩人たち』、『ペルー日系詩人ホセ・ワタナベ詩集』(土曜美術社出版販売)、訳詩集に『ぼくは書きたいのに、出てくるのは泡ばかり―日系ボリビア詩人ペドロ・シモセ詩集』(現代企画室)、『アンバル・パスト詩集』(土曜美術社出版販売)、翻訳小説に『無分別(オラシオ・カステジャーノス・モヤ) 』(白水社)等。
2024.6.24
2024年7月19日(金)18時~ メキシコ大使館で堀尾眞紀子先生のご講演決定!
長年、フリーダを研究され本書において解説を書いて下さった堀尾眞紀子先生による
『フリーダ・カーロの日記』刊行記念講演が決まりました!
ご参加ご希望の方は、メキシコ大使館「X」のご参加フォームよりお申込みください。
→メキシコ大使館「X」
2023.7.1
朝日新聞 「好書好日」にて横尾忠則先生による書評が掲載されています。
2023.7.19
メキシコ大使館のTwitterにて告知して頂いてます!
*各オンラインサイトで発売中です!
- 投稿者
- 女性
- 購入した動機
- 感想
- 以前より興味を抱いていた「人間・フリーダ」の生の声を聴くことが出来るのではと、期待しておりました日本語版。 内側にも外側にも血の匂いをまとったフリーダ・カーロの気配にむせ返りそうな…。これは<詩画集>であると感じた。数々の比喩、暗喩表現の用いられたこの日記を読み解くのは大変な作業ですが、この魂の芸術家が駆け抜けた時代ーメキシコという国、来し道とあわせながらじっくりと何度でも読み返し考えてみたいと思います。偽りのない言葉と絵に触れ、ますますフリーダ・カーロへの興味が深まりました。
- 投稿者
- 40歳代・女性
- 購入した動機
- 感想
- カラーの貴重な作品もあり見応えもあると思いました。日記というよりまるで詩の様。そしていかにディエゴの事を愛していたか。フリーダの心に少し触れた様で嬉しく思います。次は是非、フリーダ・カーロの画集を出して欲しいです。