日本人の魂のゆくえ 古代日本と琉球の死生観
谷川 健一 著
谷川健一先生は、2万人におよぶ死者・行方不明者を出した昨年の3.11東日本大震災に直面し、日本人の死生観を鮮明にする必要を、あらためて痛感されました。 そのために、文字なき時代の太古の遺風を伝えてきた琉球の民俗・伝承の世界と、『古事記』『日本書紀』などの古代文献をとおして、先史・古代から日本人が誕生と死をどのように考え、どのように対処してきたのかを追究された著作を、ここに一書とされました。それは、自然の大きな営みの循環のなかに生誕し生き死を迎え、そして再生を希求する日本人の死生観の基層にあるものを再認識することによって、合理性優先の神なき現代社会で希薄となった生と死の本来の意味をしっかりと捉えなおすことが、大災害による多くの人間の死の尊厳を弔うことのできる道であることをねがってのことであると思います。本質的でかつ斬新な問題意識のもと、谷川民俗学(柳田国男・折口信夫などの日本民俗学にとっても)の中心的なテーマである日本人の死生観をめぐる根本的な課題に挑まれた本書の、充実した内容をお汲み取りください。 |
<著者紹介>
谷川健一(たにがわ けんいち)
1929年、熊本県水俣市生まれ。東京大学文学部卒業。 『風土記日本』『日本残酷物語』、雑誌「太陽」の初代編集長を経て、文筆活動に入る。『南東文学発生論』で芸術選奨文部大臣賞・第2回南方熊楠賞受賞。『海霊・水の女』で短歌研究賞受賞。1981年以来、日本地名研究所所長として現在に至る。文化功労者。2013年、逝去。
日本人の魂のゆくえ 古代日本と琉球の死生観
定価:2,640円(本体2400円+税)
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2012年6月9日
ISBN978-4-905194-38-5 C0039